佐々木泉の本会議論戦
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2011年6月定例会
以下は、2011年6月定例会において6月29日に佐々木泉県議が行った一般質問と理事者答弁の速記録です。
一般質問項目
佐々木泉県議の一般質問
1 今後のエネルギー政策について
福島原発の事故から今日でちょうど110日になりますが、いまだ収束せず、放射能を避けて周辺地域住民12万人の避難が続いています。
中村知事は、先の記者会見で「今の危険性を鑑みると、長い目で見たときに脱原発を追い求めていくというのは取るべき道筋だと思う」と、原発から自然エネルギーへの転換の意向を明らかにしており、伊方原発の再起動についても、「細かい説明がなく安全の基準が見えない」「全国一律ではなく原発ごとに安全性を検証する必要がある」と述べましたが、これは多くの県民の気持ちでもあります。
国や電力会社に任せていては、危険の解決も、不安の解消もありません。福島ではココとココが足りなかった、だからソレを補充・追加しさえすればよいなどという姿勢は大間違いです。問われているのは、いったん事故を起こせば海も空も地上も長きにわたって汚染する原発という発電そのものの是非です。収束作業にあたる労働者が時々刻々放射能の危険にさらされ、命がけでことに臨まねばならない、そんな原発がまともなプラントとは言えないではないかという判断です。あれだけの重大な事故を経て、うちの原発だけは大丈夫だと考えるほうがおかしい。しかも、その改善策たるや、本気で追求しているようには思えません。たとえば原発の安全運転には水素爆発防止装置が必要で、3年をめどに設置するとのことですが、ということは、これからの3年間はこの安全装置なしで運転するということになります。水素爆発防止とはその程度のことなのか。また、強い放射線用の防護服10着配備するといいますが、これまでこのような防護服なしでやっていたのか、10着で足りるのか、など疑念がわきます。
そもそも「福島では老朽原発が事故を起こした」という事実から目をそらしています。
原子炉は毎日中性子を浴びて金属がもろくなり、古い原発ほど、緊急冷却に耐えられなくなります。「脆性劣化」というそうですが、この進み具合をみるために、原子炉内の試験用の金属片を取り出して調べます。伊方原発1号機では、34年前の初期値が零下25度。すなわち、零下25度まで大丈夫だったものが、どんどん上昇して、運転半年後に零度、5年後16度、18年後に30度、その後16年間調査がされておらず、現在何度まで耐えうるかわかっていませんけれども、九州電力玄海原発1号機で調べたら実に98度にもなっていました。これでは、事故のとき炉心を冷やすとパンっと割れる可能性がありますが、その対策は何もありません。伊方では現在の様子がわからず無気味です。
また、青森県六ヶ所村の再処理施設の行き詰まりで、伊方の使用済み核燃料は貯まりっ放しで、すでに1324体。ほかに、低濃度廃棄物を詰めたドラム缶は2万9500本も達しており、伊方原発は、危険な核廃棄物の山をつくりながら運転を続けていることになります。使用済みといっても油断ならないことは、福島の爆発火災で証明されています。この対策も見通しがありません。
現在のところ、安全な原発などあり得ませんし、電力不足への対応を口実に、「そうは言っても原発は必要だ」という議論は成り立ちません。福島で起こっている事態をみれば、電力確保と原発の危険は天秤にかけられないことは明々白々です。原発への回帰は許されない、そういう選択肢はないことをすべての議論の根本におく必要があります。もちろん、原発ゼロへの道筋には一定の時間が必要でしょうが、将来にわたって危険な原発を温存することは、もうできません。そして、原発ゼロの大方針を決めてこそ、自然エネルギーに本気で取り組むことができます。
そこで、第一の質問は、では今後のエネルギー政策をどうするかという問題です。中村知事はすでに、原発から自然エネルギーへの転換についての意向を明らかにしていますが、この際改めて、原発ゼロに向けて愛媛県の舵を切る決意のほどをお示しください。また、原発ゼロへの転換に、私ども共産党は5年~10年という目標と見通しを持っていますが、期限と目標について知事の考えはいかがでしょう。
先日、高知県の梼原町へ自然エネルギーの先進地見学に参りました。そこで目を開かされたのは、太陽光、風力、地熱、小型水力、木質ペレットなど多様な再生エネルギーの組み合わせによって、すでに27%の自給率を達成し、100%の自給をめざす町の取り組みに多くの住民のみなさんが共感し、主体的に取り組んでいることでした。小さな自治体だからできるのだという声もありますが、大分県は地熱などの活用によって県全体で25%の自給を遂げていますし、群馬県前橋市では、小型水力発電6基によって、市民の使う電気の3分の1をまかなっています。また、松山市の姉妹都市アメリカのサクラメント市では、住民投票で原発を停止し、太陽光発電に切り替えています。イギリスは、2020年までに原発32基分の洋上風力発電所をつくる計画で、これでエネルギーの3分の1を賄う計画です。
太陽光発電について、県独自の補助を行なってきたのが38府県あり、福島事故後の制度拡充や新設が17都府県あるそうです。愛媛県はそのどちらにも入っておりませんが、新たに制度を創る考えはありませんか。お答えください。
2 原子力発電への基本認識として、「原子力は危険なもの。安全というのは間違いだ」と考えるか
第二の質問は、原子力発電に対する基本認識についてです。米国スリーマイル島原発事故調査委員会は「原子力発電所は安全だという態度を改め、原子力は本来危険をはらんでいる、という態度に変えなければならない」と、すでに30年も前に指摘しました。また、福島第一原発事故調査・検証委員会畑村洋太郎委員長は「原子力は危険なもの。それが安全なものとして取り扱われてきたのは間違いだった」と述べています。
そこで尋ねますが、中村知事も畑村委員長のように、「原子力は危険なもの。安全というのは間違いだ」と考えますか。ドイツ、イタリア、スイスをはじめ、数々の国々が脱原発に踏み出し、イタリアの国民投票では94%が原発ノ!と判断しましたが、わが国にはこれを集団ヒステリーと呼ぶ人もいる。そういうときだけに、あえて知事の見解をお尋ねします。
3 伊方原発がメルトダウンしたときの対策はどうか
第三の質問は、伊方原発がメルトダウンしたときの対策はどうかについてです。
福島の事故について、東京電力は、想定外の津波による電源喪失が原因のように言ってきましたが、津波が来る前にすでに送電線鉄塔が倒壊し電源が喪失し冷却停止が始まっていたこと、69台もの電源車を集めたにもかかわらず1台も役に立たてられなかったことが明らかになっています。巨大津波が原因でないとすれば、全国どこの原発でも福島第一原発のような重大事故があり得るし、津波対策ばかりでは事故に対応できないことになります。福島の事故では、「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3つの機能、放射能漏れを防止する「5重の壁」が当てにならないこともはっきりしました。そして、福島のメルトダウン以後、メルトダウンは想定外のことではなく、必ず想定しておかねばならないことになりました。もちろん、伊方原発でメルトダウンを起こさないようにすることは当然であり、これまでもそのための予防策が議論されてきました。しかし、私が問いたいのは、そこから、さらに事態が進んで、実際にメルトダウンになったとき、どんな方策がありうるのか、これが重要だということです。
福島では、電源が喪失し、冷却水が喪失した状態が長く続き、ヘリコプターによる上空からの水の散布、キリンと呼ばれる首の長い放水車による送水、海水による冷却、その水による大量の汚染水の発生と海への排出、汚染水の保管などたいへんな苦労と努力が続けられてきました。IAEA国際原子力機関の調査団は、6月1日の事故調査報告で、福島では「事故後ベストの対応が取られた」と評価しましたが、これがベストだとすると、これ以上の対応はなかったということになります。そこで尋ねますが、伊方での事故がメルトダウンにいたり、電源も冷却水も喪失したまま回復が望めないという事態にいたったとき、やはり、ヘリコプターによる散水、キリンによる送水に始まり今日に至る一連の対応がベストと考えるのか、お答えください。
おそらく、事態がそこまで立ち至れば福島以上のことはできないでしょう。原発は一度シビアアクシデントに至れば手の尽くしようがない。それは伊方も例外ではありません。したがって、そのような危険な装置である原発をこれ以上存続させることはできないというのが、合理的、理性的な判断のはずです。
4 伊方原発の立地条件について
伊方1号機は寿命30年を超えて34年目、2号機も来年30年を迎え、3号機はプルサーマルを実施。すぐ目の前を世界最大級の活断層・中央構造線が走り、南海大地震、豊後水道、日向灘の地震の影響も大きな地震観測地域のど真ん中にある伊方原発は、いわば一番作ってはならない最悪の立地条件にあり、地震想定のいっそうの見直しが必要となっています。
また、福島では、大量の放射能汚染水を海へ排出しましたが、もし伊方で同様のことがあれば、瀬戸内海は閉鎖水域であり死の海となります。この点でも、伊方は絶対に原発を造ってはならない場所でした。
そこで第四の質問は、伊方原発の立地条件についてです。まず、伊方原発の地盤は三波川帯の緑色片岩で、四国電力はこれを「約2億年前に形成された古くて固い緑色片岩」「伊方原発は強固な緑色片岩の岩盤上に建設」と言うのに対して、一般の地質解説では、「三波川帯変成岩は薄く割れやすい性質」で「もろく崩れやすい」「三波川帯地域は日本有数の地すべり地域」と正反対です。この対立する見解を県はどう説明しますか。固くてもろいのか。もろいけれど強固なのか。ところによって固かったりもろかったりするのか。お答えください。
また、伊方原発への外部電力確保のための送電線鉄塔の耐震性はどうなっていますか。送電線鉄塔については独自の耐震基準がなく、風速40メートルの風に耐えるレベルをもって耐震基準としていると聞きますが、風速40メートルの風が吹くもとで地震が起こればどうなるか。また、福島第一原発の鉄塔も風速40メートルに耐えるとして建設されていたはずなのに倒壊しており、伊方だけが大丈夫という保証はないと考えますが、どう説明しますか。併せてお答えください。
さらに、津波の引き波についても、疑問が起こります。新潟県中越沖地震以前の基準では、地震の引き波で水面が下がると、伊方3号機の取水口までわずか4cmの余裕しかない状態でした。ところが、その後の耐震性見直し、いわゆるバックチェックの結果がおととし2月に出され、そこでは、水面が下がったとしても取水口まで121cm、1m21cmも余裕があるように改訂されました。地震の揺れは大きく改訂されたのに、引き波の規模は小さくなっています。取水口まで余裕が、以前の4cmが121cmと30倍です。これに驚いていたら、さらに今年3月4日には、バックチェックの改訂版というのが出され、今度は引き波の規模がやや大きくなり、取水口までの余裕は37cmになりました。バックチェックでプルサーマルにゴーサインを出したのに、そのバックチェックを改訂するなど不明朗です。このように、想定される地震の揺れの規模が大きくなったのに津波の引き波の規模が小さくなったのはなぜですか。バックチェックの再改訂についても併せて尋ねます。
5 原発「安全神話」の背景について
第五に、「安全神話」の背景についても質問します。
伊方は浜岡原発に次いで日本で危険度の高い原発だと考えざるを得ません。これまでも、週刊ダイヤモンド、週刊現代、女性自身などの雑誌が、原発安全神話に異議を唱え、伊方は全国のでも危険度が高いと報道してきました。週刊現代の5月28日号では、元京都大学原子炉実験所講師小林圭二氏が、「立地でもっとも危険なのが浜岡ですが、四国北部を横断する大活断層中央構造線のすぐ近くにある、四国電力の伊方原発も止める優先順位が高い」と指摘し、全国的に危険な原発に数え上げています。これらについて、四国電力は抗議や訂正要求をしているんでしょうか。伊方原発の危険度は県政の大問題ですので、お答えください。
2009年9月議会で四国電力の広告関係費について質問をしたのに対し、県は承知していないとの答弁でしたが、2010年度の民間調査機関発表によると、四国電力の広告宣伝費は31億3100万円、販売促進費は23億9500万円の、合計55億2600万円となっています。この巨額の宣伝費によって、「原発は重大事故を起こさない」、「放射能を漏らさない」という誤った安全神話を振りまいてきたのであり、この虚偽宣伝のための宣伝費についての県の調査不足については反省がいるんではないか。改めて四国電力の宣伝広告費はどうなっているか明らかにするとともに、福島事故後の現時点に立って、県の調査不足の反省についても併せてお答えください。
電力会社ばかりでなく、国の原子力安全・保安院も安全神話に手を貸してきました。これについても、昨年2010年2月県議会で、原子力安全・保安院の保安官の半数が民間、主に原発関係メーカーからの天上がりとなっている実態を紹介しました。このときの県の答弁は、民間からの出向があることは確認したが、どのようなメーカーからの出向かはわからないとのことでした。ところが、さる4月21日付けの共産党のしんぶん赤旗が次のように報道しています。それによると、原子力安全・保安院が創設された2001年以来、民間から採用された職員は82人で、原発メーカーの東芝22人、関西電力6人、旧石川島播磨6人、三菱電機5人、あと日立製作所、清水建設、鹿島建設、竹中工務店など35社に及んでいます。原発メーカーや原発建設に携わった建設会社、あろうことか関西電力の出身者までがいる。これで規制が出来るはずがないという実態です。原発メーカーの影響の強い原子力安全・保安院が、原発建設やプルサーマルにゴーサインを出していた。このような天上がりの実態はどうなのか、県の評価はどうなのか、よいことか、わるいことか、どうとも思わないのか、お答えください。
6 伊方原発の安全対策について(要望)
最後に伊方原発の安全対策にかかわって、いくつか提案を申し上げます。第一に、伊方原発の総点検を国と四電まかせでなく、県の責任で進めることです。IAEAは世界の原発の総点検を議論しましたが、伊方では、国の方針をまつまでもなく、県が率先して総点検を行なうこと、原発の安全にかかわる核物理学、電子工学、地震学、地質学、安全工学などあらゆる分野の、原発反対派も含めた専門家、有識者、住民代表を加えて進めていただくよう強く求めます。
第二に、県民の不安に答える公開の討論会を開くことです。この点では、かつて、プルサーマル導入の際、アイテム愛媛という大会場で大規模なシンポジウムを、松山と伊方の会場を結んで開きました。今回は、原発そのものの今後をめぐる討論会ですから、あれを上回る規模で開き、県民の不安と疑問に答え、県民の声を直接聞く機会にしていただきたいと考えます。
第三に、現在、電源立地地域対策交付金など、原発関連の交付金が総額32億円、本県と伊方町、八幡浜市など交付されていますが、これを、伊方町などとも協議の上、自然エネルギー開発のために振り向けることです。自然エネルギー日本一の大分県はすでに25%を自給していますが、本県は全国第25位、わずか5%という状況ですから、相当がんばらねばなりません。原発のための交付金を、脱原発の次世代エネルギー開発に活用することはもっとも有効な使い道ではありませんか。以上提案申し上げ、私の発言を終わります。
理事者の答弁
- 知事
- 佐々木議員に私の方からエネルギー政策についてお答えさせていただきたいと思います。
原子力の利用というものは、資源のないわが国、また四方を海に取り囲まれております日本は他国には見られない地理的な条件を持っている我が国がやむを得ざる選択肢として、エネルギー源の多様化によるリスク分散ということも含めて国策として進められてきたもので、これ自体は間違った判断ではなかったものと認識しています。しかしながら今回の福島第1原発の事故を踏まえると、長い目で見た場合、脱原発を追い求めてゆくというのはとるべき道筋であり、安全で環境にやさしく、安くて安定供給できる代替エネルギーがあれば、その方向に邁進することが理想であると思います。しかしながら太陽光や風力発電などは技術やコストなどの面でクリアすべき課題も多く、直ちに原子力の代替エネルギーとはなりえないことから、現実的な対応として当面は安全対策を徹底しながら原子力発電を利用せざるをえないものと考えております。総合エネルギー政策はまさに国策であり、したがってまずは国において自然エネルギーも含めた長期的な視点でのビジョンを示すべきと考えます。また代替エネルギーの新技術確立のため、国費を思い切って研究開発費に投入すべきものでもあります。こうした考え方に立って、先般国に対して新たなエネルギー政策の早期提示を強く要望したところでもあり、現時点で県が単独で期限や目標を定めることは困難であります。
その他の質問につきましては、関係理事者の方から答えさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
- 県民環境部長
- 佐々木議員にお答えいたします。
まず原子力発電への基本認識として、原子力は危険なもの、安全と考えるのは間違いだと考えるかとのお尋ねでございました。石川議員にお答えした通り、原子力発電につきましては設備故障や誤動作によって、内在する放射性物質が周辺住民の健康に悪影響を及ぼす潜在的危険性があることから、多重防護の考え方によりこのリスクを抑制するための安全対策が講じられてきたものと認識しております。しかし福島第1原発の事故により原子力発電に対する不安感が広がっておりますことから、よりいっそうの安全対策が必要と考えております。
次に、伊方原発がメルトダウンした時の対策はどうかとのお尋ねでございます。四国電力では福島第1原発事故を踏まえて、国から指示のあった緊急安全対策を実施するとともに、県から要請してきました追加的安全対策に取り組むなど、過酷事故が起きないように対策を行ってきておりますが、仮にメルトダウンのような過酷事故が起こった場合におきましても、福島第1原発のような事態には至らないよう、国の指示に基づきまして中央制御室の作業環境の確保、緊急時における発電所構内の通信手段の確保、放射線に耐える防護服等の資機材の確保や放射線管理のための体制の整備、水素爆発防止対策、がれき撤去用の重機の配備を順次実施しているものと承知しております。
次に、伊方原発の立地条件につきまして3点ご質問がございました。まず三波川帯について対立する見解をどう説明するのかとのお尋ねでございます。四国の中央構造線の南側に位置します三波川帯の変成岩は元来強固な性質を有しておりますが、一方地表に露出した部分については長い年月をかけて風化する過程で強度が小さくなると言われておりまして、これが佐々木議員ご指摘の三波川帯の強度について異なる見解が見られる原因と考えております。伊方発電所は地表面の岩盤を掘削し、空気に触れることがなかった強固な岩盤の上に直接設置されており、建設にあたりましては四国電力がボーリング調査等を実施し、原子力発電所を建設するために十分な強度を持つ強固で安定した岩盤であることを確認し、国の安全審査でも確認されているところでございます。
次に、送電線鉄塔の耐震性はどうなっているかとのお尋ねでございます。佐々木議員お話の通り、送電線鉄塔につきましては耐震基準は設定されておりませんが、国の電気設備の技術基準で風速40mの風圧荷重等に耐えることを求められております。佐々木議員お話の風速40mの風が吹く中で地震が発生した場合の耐震性評価は承知しておりませんが、原子力発電所におきましては鉄塔の倒壊等により外部から供給される電源が失われたとしても、非常用ディーゼル発電機や今回の緊急安全対策で配備された電源車により緊急用の電源は確保されることとなります。今回の地震により鉄塔が1基倒壊したことは承知しておりますが、国の評価結果によりますと、鉄塔近傍の盛り土の崩壊で倒壊したこと、地震そのもので倒壊した鉄塔はなかったこと、今回の地震で観測された倒れた鉄塔近傍の最大化速度699ガルを上回る平成7年の兵庫県南部地震の最大化速度818ガルにおきましても、鉄塔は大きな被害を受けてなかったことから、鉄塔の耐震性には問題ないと結論付けております。
3点目は、伊方原発の耐震性の見直しの結果、想定される地震の揺れの規模が大きくなったのに津波の引き波の規模が小さくなったのはなぜか、とのお尋ねでございました。四国電力では平成18年に新耐震指針が改定され、新たな地震調査結果や最新知見を元に敷地前面海域の断層群を評価した結果、基準地震動の引き上げに伴って地震の規模は大きくなったものの、一方断層面のすべりにつきましては、縦方向成分が減少したため引き波の影響が小さくなり、余裕は従前の4cmから121cmとなった評価を取りまとめ、平成21年2月に国に報告書を提出いたしました。その後国で審議が重ねられた結果、断層の長さやすべりの角度等が見直されまして、四国電力は平成23年3月にこれら新結果をふまえ引き波に対する余裕が121cmから37cmとなった評価報告書を国に提出し、現在国において審査をおこなっておるところでございます。なお津波の評価につきましては、国は今般の地震、津波等メカニズムの分析を行いまして、得られた知見にもとづいて地震再評価に反映するとともに、現在の審査を加速し早期に反映させるとしておりまして、県としてもその状況を確認してまいりたいと考えております。
次に、原発安全神話の背景について3点ご質問がございました。まず安全神話に異議を唱える雑誌の報道に四国電力は抗議や訂正要求をしているのか、とのお尋ねでございます。四国電力では雑誌等の記載が明らかに誤りである場合には必要に応じて説明をしている、と聞いております。
次に、四国電力の広告関係費はどうなっているのか、とのお尋ねでございます。四国電力の広告関係費につきましては四国電力からは公表されておらず県としては承知しておりません。佐々木議員お話の議会での質問は、9月28日のプルサーマル関連広告費用についてのお尋ねだったと思われますが、その時点でも公表されていなかったため、そのように回答したものでございます。四国電力という一企業の広告関係費が、県の原子力安全対策及び防災対策に影響を及ぼすとは考えておりませんため、広告関係費について把握しておく必要はないものと考えております。
3点目は、国の原子力安全・保安院への原発メーカーからの天上がりの実態と、県の評価はどうかとのお尋ねでございました。原発メーカー等の民間企業から国の原子力・安全保安院へ再就職して人数について実態は把握しておりませんが、国によればこれらの職員は民間企業を退職し、正規の国家公務員として採用されており、また保安検査などの規制業務につきましては本院管理部門による定期巡回等で適正になされていることを確認しているとのことであり、原子力安全・保安院が原発メーカーの影響を受けて、原発建設やプルサーマルなどにゴーサインを出すなどということは常識では考えられないことと思っております。
最後に、伊方原発の安全対策についてご要望がございました。まず、伊方原発の総点検を国と四国電力任せでなく、県の責任で進めることというご要望でございます。原子力発電所の安全確保につきましては、一義的には事業者が責任を有し、国が法令に基づき定期検査等によって原子炉およびその付属設備全般にわたり健全性を確認しているところでございます。県としては国の確認時に職員が立会し現地で確認するとともに、専門家、有識者、住民代表等で構成する「伊方原発環境安全管理委員会」において厳正な審理をいただいているところでございます。
今回の福島第1原発事故を踏まえ、国は緊急安全対策や過酷事故対策を指示しましたが、県も独自の追加対策を要請しているところでございまして、安全性の確認をすべて国と四国電力に任せている訳ではございませんのでご理解をいただきたいと思います。
次に、県民の不安に応える公開の討論会を開くことという要望がございました。伊方発電所の安全対策につきましては、学識経験者、農水産関係、医療関係、報道関係、地元自治体の代表者等で構成する「伊方原発環境安全管理委員会」を公開で開催し、この場で国や四国電力から説明を受け、透明性を確保しながら審議して、その審議の状況、配布資料や議事録を公開しており、その中で広く県民に周知できると考えております。また県民の代表である県議会で議論していただいており、さらには四国電力においても今回伊方発電所20km圏内を対象に全戸個別訪問を実施しているとのことから、現時点では公開の討論会を開く予定はございません。
以上でございます。
- 経済労働部長
- 佐々木議員にお答えいたします。
今後のエネルギー政策についてのうち、太陽光発電への県独自の新たな補助制度を作る考えはないかとのお尋ねでございます。太陽光発電につきましては県ではこれまで、武道館や県立高校へ太陽光パネルを設置するなど公共施設への導入促進に努めますとともに、県内中小企業等の温室効果ガス削減を推進するため、平成22年度と23年度で民間施設省エネグリーン化推進事業費補助制度によりまして太陽光発電設備を含む省エネ改修等に助成をおこなっているところでございます。なお、住宅用太陽光発電に関しましては、すでに国や県内14市町において補助制度が措置されているところでありまして、県独自の補助制度につきましては今国会に提出されている再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度を創設する法案の動向や、県の財政動向等を見極めながら今後検討したいと考えております。
次に、原発関連の交付金を自然エネルギーなどに振り向けることとのご要望でございました。原発関連の交付金につきましては、原子力広報、放射線監視施設や安全対策設備等が交付の対象とされておりまして、その一部につきましては、地域の活性化に資する事業に活用できますことから自然エネルギー開発への充当も可能でございますが、その使途については交付対象団体がそれぞれの行政事情に応じて決定をいたしておりまして、現状としましては緊急避難道路や消防施設の整備、防災無線や災害用具強化対策など地域の実情に即した防災対策や安心・安全の確保のための事業が実施されているところでございます。なお、県の交付金についてはこれまでは保健医療や産業振興分野などで有効に活用をしてきたところでありますが、今回の原発事故をふまえ当面は原子力の安全確保の観点から、防災対策等を中心とした事業に重点を置くべきであると考えておりまして、自然エネルギーへの活用につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
佐々木泉県議の再質問
知事は、エネルギー政策の転換について、原発ゼロは長い目で見ての話だということで国の方針を待つということなんですが、国がこれまで国策としてやってきて福島のこういう事故になったわけですから、やはり地域から声を上げていくことが大事なんじゃないでしょうか。こうことになった国の責任をどんどん愛媛から声をあげて、原発を持っている県から声を上げていくことで、エネルギー政策の転換を進めていくということでやってほしいです。国から指示がないとできないというのでは本当に先行きが不安でたまりません。長い目と言われましたけれど、太陽光発電の県独自の補助制度なんか全国38府県、震災後は17府県がやっているんですから、別にこれは長い目で見なくたってすぐできるわけです。こういうものはすぐやっていただきたいと思います。
それから津波のことなんですが、国で今審査している、これはどういうことですか。審査で国のOKが出ていないのに伊方原発動いているということなんですか。地震の規模が大きくなったのに、津波の規模が小さいというのはどう説明聞いてもわかりません。前の設定が誤っていたからそうなったのか、設定をし直したらやはり引き波の規模も大きくなるかと思うので、もう一度答弁を求めます。
それから、週刊誌などが明らかに間違っていたら四電は文句言うけれど、そうでないのなら言わないというのなら、やはり伊方原発について週刊誌が指摘した内容が正しかったということになります。浜岡原発の次に伊方原発は危険だというのは認めなければならないことになるんではないですか。
それから、保安院の原発メーカーからの出向しているのが常識的には偏っているとは思えないというけれども、常識は世間では逆ですよ。原発を進めて利益を被ったメーカーから出てくれば、当然古巣の意向に沿ってその利益のためにやると思うのが常識じゃないでしょうか。そのところもう一度お答えをいただきたいと思います。
再質問に対する理事者の再答弁
- 知事
- エネルギー政策がなぜ国策なのかという点について少し触れさせていただきます。そのハンドリングを間違えると、国民の生活そのものにも大きな影響が与えられる、それからまた産業の空洞化という現象もあります。それがもたらす先は、雇用の場の喪失あるいは経済国としての力の喪失、いろんな問題につながってまいります。かって、数十年前国際的なエネルギー戦略の包囲網によって日本が追い詰められた時期がありました。その時には最悪の選択をしたわけです。戦争というボタンが押されてしまったわけであります。世界の国際的な紛争のほとんどが、中東なんかを見ますと、エネルギー戦略というものが大きく関わっているように思います。私もかって石油の業界におりましたけれど、まさに石油も石炭も原子力もあらゆる物資が国際戦略物資という位置づけでとらえられているのが、悲しいかな現実でありました。日本の国はまさにこうした資源を自国で賄えない、資源のない国であります。そして四方が海に囲まれて、他のヨーロッパの国のように送電線を通じて外国から電力をいとも簡単に購入することはできません。あるいはLNGのパイプラインを引いて陸送で他国から安定的に供給することもできません。
こうしたような中で国策としてエネルギー戦略を考え、原子力もその中の位置づけでリスク分散も含めた形でとらえてきた戦略だという風に申し上げました。他方、今回の事故を受けまして、自然エネルギーの活用というのもひとつの道だと思いますけれども、それですべてが賄える、自然エネルギーをすぐさま着手すれば解決するという次元では今はないわけであります。かって松山市長時代も太陽光発電の普及について、国の補助制度がなくなった時の含めてその補助制度を維持してきた経緯もあります。そしてまた、県・前加戸知事と一緒になってメガソーラー発電所の誘致も実施いたしました。現在、ご案内の通り松山市ではメガソーラー発電所の建設が進んでおりますけれども、ご案内の通り7万平米という広大な敷地にパネルを敷き詰め、数年間かけて3期の小路に区分けする中で建設が進められております。私も最初メガソーラー発電所という名前を聞いた時、どの程度の出力が出るのか期待をしました。しかし今の技術では7万平米のメガソーラー発電所で作り出せる出力は4300kwにしかすぎません。しかも安定的な供給、しかも蓄電ができないわけですから、だからこそこれから国費で総合的なエネルギー戦略を考える中で新しい技術の開発に向けて、思い切って研究開発を行っていく必要性がある、それを平行して確立されたときいろんな道筋というものが見えてくるのではなかろうかと思っています。そういう意味で現段階では追い求めるという目標を掲げながら、現実をしっかり見極めて対応をしていく必要があるのではないか、それが私の考え方でございます。
- 県民環境部長
- 佐々木議員の再質問にお答えいたします。
まず、国が審査中というのはどういうことか、それなのに伊方原発が動いているのはどういうことかというご質問だったと思いますが、国の方では最初4cmから120cmになりましたけれども、そのあと断層の長さを変更しました関係で見直しがあったものでございます。今回につきましても、今回の地震の分析を行って再評価に反映されると言っておりますので、国ではそういう意味でずっと審査中ということになっております。それから、地震の揺れが大きくなったのに津波が小さくなったのはどういうことかということですけれども、四国電力におきましては新たな地質調査結果や最新の知見をもとに、敷地前面海域の断層群を評価して、断層の傾斜核やすべり角を見直したということで、断層面のすべりの縦方向の成分が減少しております。いずれにいたしましても津波の評価につきましては国も今回の地震で得られた知見をもとに再評価することとしておりますので、県としてはその状況を確認してまいりたいと考えております。
それから2点目は、雑誌報道に対して訂正や抗議をしないというのは、(報道が)正しかったことを認めるのではないかというご質問だったと思いますが、四国電力に聞きましたところ、一方的な見解や不十分な情報にもとづく記事が多いことや、また直接反論や抗議をおこなってもなかなか期待される効果が得られないということで、抗議や訂正は差し控えているけれども、必要に応じて抗議や訂正も考えているということでございました。県民の皆様には広報を通じて、あるいは直接個別訪問を行いまして、理解を得ようと努めているということでございました。
それから天上がりの関係で原発メーカーの影響を受けるのではないかというお尋ねにつきましては、私どもでは、正規の国家公務員として採用されて、また定期巡回等で適正に運用されていることを確認して、原発の建設やプルサーマルにゴーサインを出すということは常識的には考えられないものと思っております。
以上でございます。
- 経済労働部長
- 佐々木議員の再質問にお答えいたします。
太陽光発電への新たな補助制度について、すぐ取り組むべきではないか、そういう内容だったと思います。先ほどお答えを申し上げました通り、今国会に再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度を創設するための法案が提出されておりまして、また先般、国に対して新エネルギーの導入促進に対する支援措置の拡充等を要望しているところであります。したがいましてこれらの動向や県の財政状況を見極めたうえで今後検討したいと思っております。
以上でございます。
佐々木泉県議の再々質問
知事の意見を聞いてみますと、やはり国が決めてそのあとで日本の方向が決まってから、愛媛県がついてゆくというニュアンスが感じられてなりません。せっかく脱原発とおっしゃったんですから、まず脱原発を決めて、それを何年以内にやるということを背水の陣で決めてこそ、自然エネルギーの方向に向いて行くんじゃないかと思います。それからよその県、38県プラス17県でやっているんですから、太陽光の補助くらい国の方針を待たなくても今すぐ知事がやると言えばすむわけですから、これも合わせて知事がお答えいただければと思います。
再々質問に対する理事者の再々答弁
- 知事
- ご質問にお答えさせていただきます。
先ほど申し上げましたようにエネルギー政策というものは単純なものではありません。まさに国の浮沈がかかるといっても過言ではない政策だと思います。だからこそ国策として、さまざまな総合的な資源の多様化も含めてとり続けてきた歴史もあります。当然のことながら私どもは福島の事故を受けて、長い目で見て脱原発の道を模索するのがめざす道のりではないかというメッセージは送っているわけですから、それを受けて国の方も、これから国策として総合的なエネルギー政策をどうしていくのか、資源のない国、四方を海に囲まれている国、この条件の中で将来を見通せるような総合戦略とはどういうものなのか、しっかりとした議論をしていただけるものと信じております。まさに国会議員に奮起を促したいと思います。
- 経済労働部長
- 佐々木議員の再々質問にお答えいたします。
先ほどお答えいたしました通り、今後検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。